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福岡で水不足が深刻化しているというニュースが話題になっています。
ダムの貯水率低下や少雨の影響が報じられる中、福岡県は2月10日に渇水対策本部の設置を
発表しました。
福岡県が冬場に渇水対策本部を設置するのは2006年以来、20年ぶりです。
また、現在の状況が続けば3月中旬には断水のおそれもあるとしています。
「このまま断水になるのでは?」「給水制限はいつから始まるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実は福岡は、過去にも何度も水不足に見舞われてきた地域です。
特に1978年の大渇水では、市民生活に大きな影響が出ました。では、なぜ福岡では水不足が起きやすいのでしょうか。
そして、万が一断水になった場合、私たちはどのような備えをしておけばよいのでしょうか。
本記事では、現在の状況から過去の事例、そして今すぐできる節水対策までを分かりやすく解説します。
第1章:現在の福岡の水不足状況
現在の福岡のダム貯水率はどれくらい?

【速報】福岡の主要ダム貯水率(2026年2月27日更新)
| ダム名 | 貯水率 | 主な給水エリア |
| 江川ダム | 30.6% | 福岡市全域、筑後地域 |
| 五ケ山ダム | 48.7% | 福岡都市圏 |
| 南畑ダム | 50.2% | 福岡市南部 |
| 寺内ダム | 26.0% | 両筑地域、福岡市 |
| 瑞梅寺ダム | 69.1% | 糸島市周辺 |
県内21の主要ダムの貯水率は、36.6パーセント(前回計測比:-0.1%)となっています。(福岡県発表)
※その他、曲渕ダム、小石原川ダムを含む福岡県の主要21ダムの最新の貯水率は、本ページ最下部の【参考データ】をご確認ください。
現在の減圧給水地域はどこ?
現在以下の地域で、水道から出る水量を少なくする減圧給水を実施しています。
(2026年2月15日更新)
福岡市、春日市、大野城市、筑紫野市、太宰府市、那珂川市、糸島市、古賀市、篠栗町、志免町、宇美町、須恵町、新宮町、粕屋町
今後の見通し。雨はいつ降る?最新の天気予報予測
【速報】今後1週間の福岡の天気予報(2026年3月1日更新)

出典:気象庁ホームページから画像を加工して作成
福岡市内で雨が降っても、水源地の江川ダム周辺で降らなければ意味がありません。
実は、市街地と山間部では天気が異なることが多いため、予報を見る際は『英彦山(ひこさん)周辺』の雨量に注目です。
【速報】1994年の悪夢、再来か?「55%取水制限」の衝撃
福岡県が2月13日に「筑後川からの取水制限を55%にする」ことを発表しました。
これは、水源である筑後川から水道用として取り出す水の量を、通常の半分以下(55%削減)に制限するという非常に厳しい措置です。
55%という数字は、実はあの1994年(平成の渇水)の最大制限時と同じ数値です。
当時の状況と現在を比較し、これからの生活に何が起きるのかをまとめました。
【比較表】1994年 vs 2026年 福岡の水不足
| 項目 | 1994年(平成の渇水) | 2026年(現在) | 影響と予測 |
| 取水制限(最大) | 55.0% | 55.0% | 過去最大級の警戒事態 |
| 発生時期 | 夏(猛暑による蒸発) | 冬〜春(深刻な少雨) | 2026年は農業用水への影響も懸念 |
| 主な制限内容 | 夜間断水(21時〜6時) | 減圧給水(実施中) | 今後、時間断水へ移行の可能性あり |
| 給水制限期間 | 295日間 | 2/10対策本部設置〜 | 長期化する恐れが非常に高い |
| 人口(福岡市) | 約127万人 | 約167万人(40万人増) | 水の需要は当時より格段に多い |
| 当時のインフラ | 海水淡水化施設なし | 海水淡水化・五ケ山ダムあり | インフラは進んでいるが、予断を許さない |
1994年当時、私は11歳でしたが、夜に水が出ない不便さを今でも覚えています。
常に浴槽に水を溜めておき、夜間トイレに行く際には浴槽から貯水タンクに水を入れて流して、という作業を毎日していました。
その不便さをまた体験することになるかも知れないと、身構えてしまいます。
断水の可能性はある?
現在、山口調整池(やまぐちちょうせいち)の活用も開始されています。
(山口調整池は、福岡都市圏の深刻な水不足を解消するために建設された「水の貯金箱」のような役割を果たす施設となっています。)
山口調整池の水も現在、半分以上使っている状況で、国の試算ではダムの水も3月末までしかもたないとみられています。
それでもダムの貯水量が回復していない場合は、いよいよ断水になると見込まれています。

実は、福岡市は地形的に大きな河川がなく、「日本で最も水不足のリスクと向き合ってきた都市」の一つと言えます。
福岡市は、市民が使う水の約3分の1を「筑後川」に頼っていますが、ここは非常に渇水が起きやすい場所です。
近年も梅雨時期の降水量不足や台風の影響減少により、平年を下回る水準まで落ち込むケースが見られています。
一般的に、貯水率が50%を下回ると「水不足懸念」が強まり、30%台に入ると「取水制限の可能性」が現実味を帯びてきます。
では、実際に断水の可能性はあるのでしょうか。
福岡では、貯水率の低下に応じて段階的に対応が取られます。
- 節水の呼びかけ
- 取水制限(ダムからの水量を減らす)
- 給水制限(時間断水など)
すぐに全面断水になるわけではありませんが、過去には時間帯を区切った給水制限が実施されたこともあります。
特に1978年の福岡大渇水では、長期間にわたる断水が市民生活に大きな影響を与えました。
次章では、なぜ福岡で水不足が起きやすいのか、その背景を詳しく解説していきます。
第2章:なぜ福岡は水不足が起きやすいのか?
「なぜ福岡では水不足が繰り返されるのか?」
実は、地理的条件と都市構造に大きな理由があります。
福岡は大きな河川が少ない都市

福岡市は政令指定都市の中で唯一、市域内を流れる一級河川を持たない地域です。
関東であれば利根川、関西であれば淀川のような豊富な水量を持つ河川がありますが、福岡にはそれに匹敵する水源がありません。
主な水源は筑後川水系や市内ダムですが、その水量には限りがあります。
特に雨が少ない年は、ダムの貯水率が一気に低下しやすいという特徴があります。
つまり福岡は、もともと「水資源に余裕がある都市」ではないのです。
人口に対して水資源が少ない

福岡市は九州最大の都市として人口が集中しています。
福岡市は、2025年9月時点で人口約167万人を擁し、毎年約1万5千人規模の増加を続け、全国の市区町村でトップの人口増加数を誇ります。
都市化が進み、住宅地や商業施設が増える一方で、水の需要も年々高まっています。
しかし、水源は急に増やせるものではありません。
人口規模に対して水資源が潤沢とはいえないため、少雨の年にはすぐに水不足リスクが高まります。
この“需要と供給のバランスの難しさ”が、福岡の水不足問題の背景にあります。
それでも福岡は対策を進めている

ただし、福岡市は水不足を経験してきた都市だからこそ、節水対策やダム整備、広域水道ネットワークの構築などを進め、全国でもトップクラスの対策を導入しています。
・「海水淡水化センター(まみずピア)」の活用
東区の奈多にあり、海水を飲み水に変える施設としては日本最大級です。ダムが干上がっても、ここで1日最大5万立方メートル(市民約25万人分)の水を安定して供給できます。
・「漏水率」の低さ(日本一レベル)
福岡市は水道管から水が漏れる「漏水」を徹底的に防いでおり、その漏水率は約2%前後と、世界の主要都市と比較しても圧倒的に低いです(世界トップクラスの節水都市です)。
・節水型水洗トイレの普及
市独自の条例で、施設などには節水器具の設置を義務付けています。
また、市民の節水意識も高く、福岡市の2019年度市政アンケート調査では91.1%の市民が「節水に心がけている」と回答し、全国値80.5%(内閣府2014年『水循環に関する世論調査』)を1割余り上回っています。
次章では、実際に福岡で起きた過去の水不足事例を振り返り、どのような影響があったのかを詳しく見ていきます。
第3章:福岡で過去に起きた水不足事例

1978年|福岡大渇水(287日間の給水制限)
1978年(昭和53年)の「福岡大渇水」は、福岡市の歴史において「水不足の恐怖」を市民の記憶に深く刻み込んだ最大の事件です。
1.異常な長さの「287日間」
この渇水の最大の特徴は、制限期間の長さです
期間: 1978年5月20日から1979年3月31日まで、なんと287日間(約10ヶ月)も給水制限が続きました。
原因: 前年の冬からの極端な少雨により、福岡市の水源である江川ダムなどの貯水率がゼロ近くまで低下しました。
2.「18時間断水」という過酷な生活
制限が最も厳しかった時期には、「1日6時間しか水が出ない(18時間断水)」という極限状態になりました。
生活の激変: 水が出る数時間に合わせ、深夜や早朝に起きて家事(洗濯や風呂、容器への貯水)をこなさなければなりませんでした。
高台の悲劇: 水圧が足りず、高台にある住宅や団地の上層階では、「給水時間になっても蛇口から水が1滴も出ない」という事態が頻発しました。
3.市民生活の混乱
ポリタンクの行列: 街中の公園や小学校に設置された応急給水栓には、市民がポリタンクやバケツを持って長い列を作りました。
銭湯への殺到: 自宅でお風呂に入れないため、銭湯は芋洗い状態の超満員になり、営業時間を制限する店も出ました。
学校や病院の危機: プールの中止はもちろん、トイレが流せないため悪臭が漂い、病院でも手術の延期や透析への影響が懸念されるほど深刻でした。
4.経済へのダメージ
飲食店の営業停止: 「うどん屋が茹で汁を替えられない」「レストランが皿を洗えない」といった理由で休業が相次ぎました。
工業のストップ: 工場も操業短縮を余儀なくされ、福岡市の経済は大きな打撃を受けました。
5.この経験が生んだ「節水都市・福岡」
この地獄のような287日間を経験したことで、福岡市は「二度とこんな思いはしない」と決意し、世界有数の対策を講じるようになりました。
筑後川からの引水: 福岡導水事業により、安定した水源を確保。
節水型都市宣言: 日本で初めて「節水型都市」を宣言し、漏水防止対策で世界一レベルの技術を習得。
海水淡水化センター: 究極の備えとして、海水を飲み水にする施設を建設。
この1978年の教訓があるからこそ、現在の福岡市は水不足に対して非常に強いインフラを築き上げることができたのです。
1994年|観測史上最少の降水量
1978年の大渇水を教訓に対策を進めていた福岡市を、再び襲ったのが1994年(平成6年)の「平成の渇水」です。
1978年が「期間の長さ」で記憶されているのに対し、1994年は「猛暑と水不足のダブルパンチ」として記憶されています。
1.発生の背景:記録的な猛暑
空梅雨と猛暑: この年は梅雨明けが異常に早く、その後の夏は日本最高気温を更新するほどの記録的な猛暑となりました。
水需要の爆発: あまりの暑さに水の消費量が跳ね上がり、ダムの貯水率が急速に低下しました。
2.制限の内容:「夜間断水」の実施
制限期間: 1994年8月4日から1995年6月1日まで、295日間(約10ヶ月)にわたりました。
給水制限: 最も厳しい時期には午後9時から翌朝6時までの「夜間断水」が実施されました。寝ている間に水が止まるため、夜中のトイレや深夜の帰宅者が特に困窮しました。
3.当時の街の様子と混乱
高台の断水: 1978年同様、水圧低下により高台の住宅では給水時間内でも水が出にくくなる「出入(でいり)不良」が発生しました。
ペットボトル水の爆売れ: 1978年には一般的ではなかった「ペットボトル入りの水」を買い求める人が続出し、スーパーやコンビニから水が消えました。
公園での水浴び: あまりの暑さと風呂の制限により、公園の噴水などで水遊びをしたり体を拭いたりする子供たちの姿が見られました。
4.1978年との違い:インフラの進化
実は1994年は、1978年よりも降水量が少なかったと言われています。
しかし、1978年の教訓で作られた「筑後川からの導水」があったおかげで、1978年のような「1日18時間断水」という最悪の事態は免れました。
筑後川の水が、福岡市の首の皮一枚を繋いだのです。
5.この渇水が決定打となった「海水淡水化」
この1994年の渇水を受けて、「ダムや河川だけに頼るのは限界がある」という結論に至りました。
これが、2005年に稼働を開始する日本最大級の海水淡水化センター(まみずピア)の建設を強力に後押しすることになりました。
第4章:もし断水になったら?家庭でできる節水対策5選
福岡で水不足が深刻化し、万が一「断水」や「給水制限」が実施された場合、日常生活への影響は想像以上に大きくなります。
断水が起きた際、最も困る「トイレ」と「洗濯・衛生」に絞ったサバイバル術を伝授します。

1.トイレ:無理に流すのはNG
断水時に一番やってはいけないのが、「バケツで無理やり流す」ことです。排水管が詰まったり、逆流したりするリスクがあります。
非常用トイレセットを使う: 楽天市場などで売っている、凝固剤と袋のセットが最強です。
自作トイレ: 便座にゴミ袋を2重に被せ、中に新聞紙を細かくちぎって入れれば代用可能です(猫砂も有効)。
「小」の回数を減らす: 水分補給は必須ですが、カフェインの少ない飲み物を選び、利尿作用を抑えるのも知恵です。
2.洗濯:水を使わない「ふき取り」と「裏返し」
洗濯機が使えない状況では、衣類を汚さない工夫が重要です。
肌着の裏返し: 限界まで着るなら裏返して着る。あるいは、肌に触れる部分にキッチンペーパーを当てるだけでも皮脂汚れを防げます。
除菌スプレーと天日干し: ファブリーズなどの除菌スプレーをかけ、太陽光に当てて殺菌するのが最も現実的です。
拭き取りシートの活用: 体の汚れはビオレなどのボディシートで拭き取ることで、下着の汚れも最小限に抑えられます。
3.食器洗い:水を使わない「ラップ術」
お皿にラップ: 皿にサランラップを敷いてから食べれば、食べ終わった後にラップを捨てるだけで皿洗いが不要になります。
4.髪と体:水のいらないシャンプー
ドライシャンプー: お風呂に入れないのは体力も精神も削られます。水を使わず、拭き取るだけのドライシャンプーは、衛生的にも精神的にも助けになります。
5.市民のための「給水所」確認
断水が始まったら、まずは水道局の公式X(旧Twitter)や公式HPをチェックしてください。
お近くの小学校などが応急給水拠点になります。
1994年、私は重いバケツを運ぶ大人たちの苦労を見てきましたが、現在ではバケツよりも折りたたみ式のウォータータンクが圧倒的に楽です。
まとめ
福岡の水不足問題は、
- 歴史的な背景(過去の大渇水)
- 地理的・気候的な構造
- 最新の対応策
の3つの要素から成り立っています。
この記事では、
- 第1章:現在の福岡の水不足状況
- 第2章:なぜ福岡は水不足が起きやすいのか?
- 第3章:福岡で過去に起きた水不足事例
- 第4章:もし断水になったら?家庭でできる節水対策5選
の4つの視点からわかりやすく解説しました。
私も子供の頃に、1994年の水不足を体験しました。
その頃の体験は大人になった今でも覚えています。
30年前と現在と比べると、当時よりはインフラは整備されていますが、福岡県の人口は増加しています。
その分、断水になった場合の影響は1994年よりも大きいかもしれません。
福岡の水不足は、誰か他人事ではありません。
福岡は常に水不足と隣り合わせでいます。
「日常の節水」や「防災備蓄」は、準備するタイミングを後回しにしてしまいがちです。
しかし、備えが早ければ早いほど安心になります。
ぜひこの記事を機に、家族や職場でも 水の大切さと備えを考えてみましょう。

参考データ
【速報】福岡の主要21ダム貯水率(2026年2月27日更新)
| ダム名 | 貯水率 |
| 江川ダム | 30.6% |
| 寺内ダム | 26.0% |
| 合所ダム | 35.0% |
| 大山ダム | 14.4% |
| 小石原川ダム | 15.2% |
| 日向神ダム | 24.0% |
| 山神ダム | 49.7% |
| 南畑ダム | 50.2% |
| 背振ダム | 23.8% |
| 猪野ダム | 42.3% |
| 長谷ダム | 77.5% |
| 鳴淵ダム | 50.7% |
| 曲渕ダム | 40.0% |
| 瑞梅寺ダム | 69.1% |
| 久原ダム | 70.0% |
| 五ヶ山ダム | 48.7% |
| ます渕ダム | 59.5% |
| 油木ダム | 23.6% |
| 力丸ダム | 64.7% |
| 陣屋ダム | 48.8% |
| 伊良原ダム | 53.5% |
参照サイト:福岡県主要ダム貯水状況公式サイト
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